農園日記

横枕農園便り 2024年4月 ナスの畑作りが始まりました!

皆様、こんにちは。横枕農園の木下です。今月はニュースが盛りだくさんなのですが、この記事ではナス畑の様子についてお伝えします。

今年のナスは去年に比べ一週間遅い5月2日に定植する予定のため、畑作りもゆっくりと進んでおります。あとは梅雨のような雨模様が続いて畑に入れない日もありました...

横枕農園の畑では地元の自然資源を生かした土作りを行っています。
今年は造園業者様から譲っていただいた竹チップ、近所の小松酒造様から購入した酒粕、コイン精米機から集めた米ぬかを畑に入れました。

竹チップには乳酸菌が含まれており、それを土に撒くと微生物などの増殖が促進され、堆肥として農業に役立ちます。
また、酒粕には目安として窒素全量:5.0%、りん酸全量:6.0%、加里全量:1.0%のほか、米由来のでんぷん、麹由来のタンパク質などが含まれています。米ぬかも、窒素全量: 2%、リン酸全量: 4%、カリ全量: 1%程含まれています。
いずれも期待している効果としては栄養供給と微生物活性化です。
どの資源も良い匂いがするんですよ。

一方でナスという植物は約半年間、毎日毎日実を成らせるため他の野菜よりも多くの水と肥料を必要とします。地元の自然資源では足りない分は化成肥料を一部使用し栽培しています。

ナスはお盆の前後で収穫量がピークに達するのですが、必要以上に実を成らせすぎたり、水や肥料のバランスが崩れると、9月以降にナスが出来なくなる「なり疲れ」という症状が現れます。
ナスは実を成らせる「生殖成長」(実=子孫を残して自分が枯れていく)と自身が大きくなる「栄養成長」を同時に行っています。
私たち農家は収穫量が急に増えたり減ったりしないように、台風や猛暑が来ても極力植物にストレスを与えないように丁寧に育てるところが技の見せ所です。
今年は880本のナスを栽培して10t収穫できるようにスタッフに手伝ってもらいつつ丁寧にお世話をしていきたいと思います。

【今月の予定】
実は先週の夜に養蜂家の先輩農家様から二ホンミツバチの群を譲っていただいたきました。ミツバチの移動は早朝か日没後の低温時に行うのですが、今回は夜の10時に横枕へやってきました。
今週はミツバチの観察と巣箱の掃除を地元の高校生と行います。
また、ナスの定植に向けてマルチを張ったり支柱を立てたりと、ナスの畑作りも大詰めを迎えています!
また、ビーツも子葉から本葉が出始めたため、畝間の除草を行いつつアップしていきます。

【今月の一冊-ミカンとヒヨドリ 近藤史恵-】
「ときどき旅に出るカフェ」などでも有名な近藤史恵さんの作品です。
物語の主人公は狩猟で生計を立てる大高とジビエを扱うフランス料理のシェフ潮田。前回と同様珍しい料理達が多数登場します。

「これ以上人生を複雑にしたくない」

作中で大高が山の中で質素に暮らす理由を知ってハッとしました。
これは私が会社員を辞めてフリーターになった時、周りの人になぜ辞めたのかと問われたときに色々説明する中で心の根底に確かにあったものでした。

狩猟で生計を立てる大高は傍から見るとぶっきらぼうな物言いで、世捨て人の様に見えますが、実は世の中の矛盾や自然の素晴らしさを肌で感じる事ができる人一倍繊細な男です。
一方シェフの潮田は物腰が柔らかく優しい人間であると同時に、フランスで料理修行をしていた時は人一倍優秀な生徒でした。しかし帰国後、自分の店を始めると尽く失敗を繰り返し自信を喪失してしまいます。

潮田はジビエを通して大高に影響を受け、人間の都合で害獣として駆除される動物達に違和感を覚え、食材として扱う時はせめて美味しく頂こうとメニューを創作します。大高との出会いから、段々と新鮮なジビエ料理の種類が増えお客様が店に訪れる様子が美しいです。

著書を読んでいると私たちは主に鶏・豚・牛の三種類の動物の肉を食していて、それが自然になっている事に気付きます(魚介類はそれに比べると種類が豊富ですね)。
当然私たちの体は自分たちが摂取した飲食物で形成されていますが、私はそれらがどんな環境で何を食して育ったのかわざわざ見ないようにしてきました。劣悪な環境で病気にならないようにワクチンを打たされた肉を、色形を均等にするため農薬が振り撒かれた作物を私たちは何気なく食べていることが多いのでは無いでしょうか。安全性についての検証は勿論なされているとは思いますが、検証の結果は考慮する外乱や条件によって大きく変化します。
またその検証は対象の動植物を支配する環境全体と比較すると、ある条件下の瞬間を切りとった近視眼的な結果に過ぎず、人体にとって本当に安全で、数十年後も健康でいられるのかと問われると少し不安になってしまいます。

今ではスーパーに行けば食材が豊富にある事が日常ですが誰がどこで作り、どうやって屠殺、又は収穫したのか気にかける方は少ないのではないでしょうか。
私は農家になる以前にこの本に出会い何度も読んでいましたが、最近になって改めて読むと「人生をシンプルに生きる」「安心・安全な食材を作る」という原点に立ち返ったような気持ちになりました。
これからも横枕農園の商品を安心して食べていただけるよう、できるだけ畑の様子を発信して皆様に自然の美しさや農園の雰囲気を身近に感じていただきたいと思います。